事故の際の車の車両価値
相手側の過失で自分の車が全損。相手の保険会社が提示した補償額がOO円で買い替えできない!
という話をよく耳にします。
最近だと、納品前のシビックタイプRの件。
450万円「シビックタイプR」納車直前に全損事故! 保険会社は「約180万円」提示なぜ? 問われる保険対応の今後とは
顧客と中古車屋の間で450万で売買が決まっていたシビックタイプRが納車前日にチェック走行していたら、信号無視の車と衝突し大破。という内容です。
現在のシビックタイプRでしたら状態にもよると思うのですが、450万円というのは法外な金額というわけではなさそうです。
しかし、相手側から提示された補償金額は180万円w
補償額はどうやって決まるのか
事故の被害者は全く納得できないだろう補償額は、「データライン」や「レッドブック(赤本)」という業者用の本で決められているそうです。主にレッドブックに記載されている価格を参考に補償額が決まるそうです。
過去の凡例がこれらのデータを元に補償額を決めたことから、現在の保証額決定のソースとして使われているようです。
データラインもレッドブックも法人・業者向けのサービスです。
レッドブックとは
有限会社オートガイドが発行している月刊誌。オートガイド社は、昭和33年から60年以上の歴史を持つ自動車価格月報。サイトには「業界(自動車・損保・法曹・官公庁など)のプロ用です」と書いてあります。
市場価格を調査しまとめて毎月発行しているはずなのに、市場価格より明らかに低い価格を記載するのはある特定のクライアントへの利益のためなんじゃ?(笑)
データラインとは
データラインについては、あまり聞かないのですがPROTOが提供している「法人向け中古車データ検索システム」のようです。
レッドブックで補償額が決まるのはおかしくない?
レッドブックは、業界(自動車・損保・法曹・官公庁など)のプロ用の月間発行冊子です。
そこにある価格をもとに、一般消費者への補償額を決めるのはおかしくないでしょうか?ここで言う業界の人たちは、
- 可能な限り依頼者の賠償・補償金を減らしたい。
- 加害者から受け取る賠償・補償金が増えたとしても自社の利益にはならない。(関係ない)
人たちです。利害・利権が偏っている冊子を元に補償額が決められているわけです。
そもそも原状回復の義務がある
知り合いの法律関係の仕事の人に、「日本では物を現状回復するのではなく、それをお金に換算して対応する」と聞いたことがあります。
民法722条1項は、「不法行為による損害賠償については、原則として金銭賠償の方法による」こととしています。「弁償じゃダメ、元通りに戻して!」不法行為による財物の毀損〈原状回復〉の請求はどこまで可能か【弁護士が解説】
しかし、この民法722条は「モノ」の補償はあまりにも不効率なのでそれを「金」に換算して賠償するという内容で、業者御用達の冊子に記載されている価格が、充分な補償ということにはならないですね。
原状回復というのは、その被害を受ける前の状態に戻すという意味ではないでしょうか?自腹を切らないと同じくらいのグレード・車種が買えないのは、原状回復にはならないと思います。
お金に換算できない補償は難しい
そうは言っても、お金に換算できない補償もあると思います。
- すでに中古市場にも出回っていないモノ
- 思いれのあるもの
- オーダーメイドで作ってもらったもの
思い入れは「プライスレス」なので、それは別途裁判してもらえばいいと思いますが、現在でも中古として売られているならその分の金額は補償すべきです。
シビックタイプRの件は中古車屋に頑張ってほしい
法律関係の人たちが「判例がでている」という表現をよく使います。判例を作るためにもシビックタイプRの裁判は有耶無耶にせずに頑張って欲しいです。